浜松           2011年5月8日
佐鳴湖
 佐鳴湖は浜名湖の東に位置する汽水湖で面積は1.2kuほどである。周辺地域は開発されてしまったが、わずかに湖岸に自然が残され、主に西岸と東岸は佐鳴湖公園として整備されている。西岸には人工の湿地である根川湿地がある。この湿地や湖岸の湿った場所には湿生植物が数多く見られる。人工的に植えられた植物もあると思われるが、もともと生息していた種や後から進入してきた種などが入り乱れて里山の植物を観察するには適した地域となっている。
 2010年の秋に訪問した際にはカヤツリグサの仲間やタデの仲間が豊富に見られ、植生の豊かさを楽しむことができた。その時、眼にしたのが根川湿地に群生するコウホネだった。コウホネの開花時期を調べると根川湿地では4月下旬から5月初旬には咲き始めるらしいことが判りさっそく出かけてみた。
 現地では期待したとおりコウホネの黄色い花がポツポツと開いていた。日差しが強くてコントラストがつきすぎて思うような写真が撮れなかったが、立派なイメージの花だった。
 コウホネ以外にも期待していた植物があった。それはスゲの仲間だった。スゲの仲間は春に開花する種が多く何種類か見られるのではないかと考えていた。期待通り湖岸の湿った場所にはカサスゲが見事に群生していた。一画には植物全体が見るからにやわらかそうなアゼナルコが果穂をいくつも吊り下げていた。他にもアゼスゲ、タチスゲ、オタルスゲ、ヤワラスゲなど花は目立たないが賑やかなものだった。同じくカヤツリグサ科のウキヤガラが思いっきり花穂を突き上げているのも壮観だった。
 カワジシャ、タガラシ、カズノコグサ、ミズハコベ、キュウリグサ、ムシクサ、ムラサキサギゴケ、イグサ、シャガ、キショウブ、シュロガヤツリ、ハタケニラ、アオコウガイゼキショウ、イボウキクサ、クサイチゴ、スダジイ、ハリエンジュ、トクサなど様々な植物が出現して目を楽しませてくれた。花は終わっていたがアカメヤナギが川縁で大きく枝を広げていたのも印象に残った。
コウホネ
ウキヤガラ
ハタケニラ
カサスゲ