藤原岳      1996年5月3日、1998年3月14日、2004年4月17日
西藤原駅〜聖宝寺登山道〜8合目〜避難小屋〜天狗岩〜避難小屋〜8合目〜大貝戸道〜西藤原駅
 スプリングエフェメラルとは春に落葉樹林下に咲く花たちのはかない生命をたとえた言葉である。鈴鹿山脈の藤原岳は石灰岩から成る山でことのほかスプリングエフェメラルが多い。2月下旬から3月に入ると聖宝寺登山道の6合目から上では雪融けとともににフクジュソウ、セツブンソウが咲き出す。セリバオウレン、スハマソウも混じるがフクジュソウは花期が長く5月のゴールデンウィーク頃まで見られることがある。
 4月中旬から5月にかけては様々な花が満開となり咲き競う。聖宝寺の下の鳴滝付近ではここで発見されたタキミチャルメルソウが観察できる。チャルメルソウの仲間は花を拡大して覗かなければ違いがわからない。ハクサンハタザオ、ミヤマキケマン、スズシロソウも見つかる。少し登ったところに長命水がわき出し最後の水場となる。以前このあたりでヤマトグサを見つけた。樹木ではコクサギが多い。その後植林地の登りが続くが林床に植物は少なく、ミヤマカタバミ、エイザンスミレくらいだ。
 6合目に出ると急に明るくなり落葉樹林下に花がいっぱい咲いている。イチリンソウ、ニリンソウ、キクザキイチゲ、アズマイチゲ、カタクリ、ヒロハアマナ、ミノコバイモ、ヒトリシズカ、エンレイソウなど枚挙に暇が無い。中にはヒナワチガイソウ、ハルトラノオ、ユリワサビ、ヤマネコノメソウ、ホクリクネコノメ、ウラシマソウ、ツクバネソウも混じっている。この一画には花はまだだがタチガシワもある。8合目で大貝戸道と合流した後も同様な花が咲き続けその多さに圧倒される。避難小屋まで到着すると一休止して天狗岩に向かう。カレンフェルトが点在する尾根筋にはフクジュソウ、ヒロハアマナ、ホソバノアマナが見られる。
 帰路は大貝戸道をとり植林地をナガバノスミレサイシンなど見ながら下る。途中開けたところではマンサク、アセビ、ヤマザクラが咲き、林下にはオニシバリ、ニシキゴロモ、マキノスミレ、スズカカンアオイの花も観察できる。
 以前は坂本谷でヤマブキソウ、シャク、イチリンソウ、ニリンソウ、ハナネコノメなど数多くの春の花々に出会えたが、土石流のため通行禁止になり残念だ。
フクジュソウ
セツブンソウ
ミノコバイモ
ヒロハアマナ
ヤマブキソウ