長門峡、徳佐     1994年4月27日、1995年4月28日
長門峡駅〜長門峡入口〜鈴ヶ茶屋往復、阿東町徳佐など
 長門峡は地図でいえば山口県の真ん中あたりに位置している。小郡から列車を乗り換えてコトコトと山口線に揺られやっと辿り着いた。それほど山奥には思えないが駅からすぐ近くに長門峡入口があり、阿武川沿いに分け入ると思いがけないほど優れた渓谷美が続いていた。渓谷には遊歩道が設けられ歩きやすいようになっていた。
 春の花としてまずツルカノコソウが目に入った。薄紅色の花を付けるカノコソウと比べて花の色は純白だった。同じく白い花のサツマイナモリもまだ花が残っていた。晩秋から春先まで花の少ない時期を飾る植物だ。渓流沿いの水しぶきがかかるような場所で見慣れぬスミレを発見した。これはケイリュウタチツボスミレだった。比較的新しく認識された種でタチツボスミレの渓流型変種だ。花弁はやや細長くなる傾向があるようだ。中部地方で見つかったがその後各地で発見されている。ナガバノタチツボスミレも咲いていた。こちらは名前のように茎葉が細長くなるのが特徴だ。
 さらに川沿いを進むとツツジの花が現れた。キシツツジとの初めての対面だった。花はモチツツジに近いようだったが紅色が濃くて鮮やかさがあり川面に映えていた。満開には程遠く咲き始めたばかりだったのが残念だった。
 他にはオオタチツボスミレ、ツボスミレ、オオバタネツケバナ、ヤマブキなどを確認した。ところで場所ははっきり記憶していないが電車の窓から外を眺めていたとき、スミレの群生が目に飛び込んできた。線路の軌道敷き内で咲き乱れていたのが印象に残った。
 徳佐ではトキワイカリソウ、シハイスミレ、カキドオシ、アリアケスミレなど春を彩る花たちが微笑んでいた。畑にはトゲミノキツネノボタンがはびこっていた。またここには十種ヶ峰が聳え立ち登頂意欲をそそられた。様々な植物が観察できるようなので機会を見つけてぜひ訪れたいものだ。
キシツツジ
ケイリュウタチツボスミレ
サツマイナモリ
ヤマブキ
アリアケスミレ