渥美半島      2016年6月15日、2015年6月30日
シタキソウの巻
 初夏の照葉樹林と言えば、真っ先にじめじめした林床を思い出す。梅雨の時期でもあり、薄暗い林内に入るとすぐに汗が噴き出して、着ているものが汗だくになる。不快なことこの上ないほどの思い出がある.。それに加えてやぶ蚊の襲来がある。そこらじゅう刺されて痒いことこの上ない。さらに薄暗い林床には草本植物は少ないのだ。それ故にこの時期に照葉樹林内に入って植物観察をしたことが、ほとんどなかった。
 ところが最近になり、樹木やつる性植物を調べていくうちに、市内において暖地の海岸近くの山林内に生えるシタキソウや常緑樹林内に生えるサカキカズラなどが生い茂っている場所があることを知った。
 手始めにシタキソウを観察しようと思い2015年6月下旬に出かけたが花はほとんど残っていなかった。このことを踏まえて翌年は6月中旬に訪問した。すると期待通り、満開のシタキソウに出会えた。長いつるを伸ばし、所狭しと生い茂り、芳香のある白い花をいくつも咲かせていた。
 林内や林縁にはリュウキュウマメガキ、クチナシ、イソノキ、ムラサキシキブ、テイカカズラ、イヌマキ、サカキ、リョウブ、センリョウ、アカメガシワ、サネカズラなどの樹木やつる性植物の花が確認できた。
 林内が暗いため草本植物は少なくハエドクソウが咲いているぐらいだった。
 中でも特に興味深かったのはリュウキュウマメガキだった。ややオレンジ色に染まった黄白色の花が鮮やかだった。琉球の名前がついているが関東以西の西日本に分布しているようだ。
 ここではもう一種類のカキの樹を発見した。7月の中旬に来訪した時に、トキワガキの白い花が咲いているのを目撃した。こちらの種も伊豆半島以西に分布するカキの仲間だった。
 あまり注目してこなかった地元の照葉樹林にも美しくて特徴的な植物がたくさん自生していることが分った。
リュウキュウマメガキ
トキワガキ
シタキソウ