阿蘇山    1993年4月13-14日、1994年4月14-16日
久木野村、高森町、一の宮町など
 阿蘇に初めて足を踏み入れたのは1993年の4月中旬のことだった。広大なカルデラを目の前にした風景は忘れ得ないほどの強烈なインパクトを与えるものだった。加えて草原に咲き乱れる花々の美しさに魅了されたびたび訪問することとなった。
 南阿蘇の草原やその周辺ではちょうど4月中旬にスミレの仲間を中心にして様々な花が観察できた。キスミレ、エイザンスミレ、ヒゴスミレ、マルバスミレ、ヒカゲスミレ、フイリナガバノスミレサイシン、アケボノスミレ、スミレ、アカネスミレ、ツボスミレなどが花盛りだった。その中に風変わりなスミレを見つけた。これはスミレとヒゴスミレの交雑種で葉に切れ込みがあるスズキスミレだった。まだ見ていないがアカネスミレとヒゴスミレの交雑種であるアソキクバスミレも産するようである。
 スミレ以外の花に目を移すと、キブシ、コブシ、ツクシショウジョウバカマ、アマナ、センボンヤリ、ハルリンドウ、フデリンドウ、サツマイナモリ、コガネネコノメソウ、シロバナネコノメソウ、オカオグルマ、オキナグサ、ヒトヨシテンナンショウワサビトサコバイモ、フウロケマン、ジロボウエンゴサク、サツマイナモリ、ナガバモミジイチゴなど数え上げれば限が無かった。中でも特に目を引いたのはツクシシオガマだった。春に咲くシオガマの仲間は珍しくピンクの美しい花を誇らしげに咲かせて印象に残った。付近にはサクラソウの株も認められたがまだ蕾の状態だった。
 一の宮町ではノジスミレ、フウロケマン、キジムシロがきれいに咲き、ショカッサイ、セイヨウアブラナなど植えられた花が溢れんばかりだった。
 阿蘇の草原では満開のサクラのもとで放牧された牛たちがのんびりと草を食むのを眺めながら、のどかな気分に浸ることができた。
南阿蘇からみた烏帽子岳、高岳、根子岳
キスミレ
ツクシシオガマ
ツクシショウジョウバカマ
フイリナガバノスミレサイシン