麻機遊水地(静岡市)     2012年10月2日
第3工区など
 遊水地という言葉を調べてみると、洪水時に一時的に川の水をためて下流に流れる水の量を減らす土地とある。雨が多い日本では洪水の被害を軽減する遊水地が多く存在しても良いはずだが、平野部に大規模な面積の土地を必要とすることから数少ない。
 最も有名なものは渡良瀬遊水地で規模も大きく自然環境が保全されていて植生も豊かである。一方、規模では及ばないものの麻機遊水地は静岡市近郊にありながら貴重な自然が残されている遊水地である。
 今回は偵察ということで全体的な様子を伺う目的で来訪した。事前に調べたところ、第1工区から第4工区まであり、そのうち第3工区が最も植生が豊かであるらしいことからここをメインに探索した。
 麻機遊水地に到着し、張り巡らされた遊歩道に足を踏み入れてみるとタデの仲間が群落を形成して最盛期に近い様子だった。まず眼に飛び込んできたのがサデクサだった、。小川の両岸を埋め尽くさんばかりに繁茂して花盛りだった。池の端の湿地ではシロバナサクラタデの勢いが良かった。ホソバノウナギツカミ、アキノウナギツカミ、ヤナギタデ、サクラタデなども目立った存在だった。他方、目立たない存在だが珍しいヤナギヌカボが開花していた。一般的に見られるイヌタデやオオイヌタデはここでは肩身が狭かった。
 タデ以外の植物に眼を向けるとミズアオイの群生が見事だった。湿生植物のオモダカ、タコノアシ、ゴキヅル、オギノツメ、ヒロハスズメノトウガラシ、コツブヌマハリイ、ヒメサルダヒコ、ウスゲチョウジタデも観察できた。
 乾燥が進んだ地域にはススキ、セイタカアワダチソウ、オオブタクサ、アレチハナガサ、ハルシャギク、イタドリ、カナムグラ、メドハギ、アレチヌスビトハギなどが繁茂していた。特にアレチヌスビトハギは果期で莢がズボンにくっついて取りはがすのに苦労した。さすがにマジックテープの原理の発見に役立っただけのことはあると妙に感心してしまった。
 次回は今回見つけられなかったヌカボタデを探してみようと思いながら帰宅した。
麻機遊水地第3工区
ヤナギヌカボ
タコノアシ
ミズアオイの群生