奄美大島      1989年7月4日〜8日-A
名瀬市、あやまる岬、湯湾岳、安木屋場など
 奄美大島は沖縄本島南部と比べて開発が進んでおらず、まだまだ亜熱帯の自然が多く残されていると感じた。島内の数箇所で植物を観察できたので以下に紹介した。今回は低地から山地に見られる植物をおもに取り上げた。
 名瀬市内に滞在したが、裏手の森へ一歩分け入ると亜熱帯に分布する動植物がすぐに見つかった。ヒカゲヘゴは日向で大きく葉を展開していた。高さ10mにも達する巨大な木生シダ植物だ。アマクサシダ、リュウキュウマツなども確認できた。湿った場所ではアフリカマイマイがウヨウヨしてその大きさにびっくりした。本土に進入すればその食害はひどいことになろう。
 あやまる岬付近ではヤンバルゴマの花が観察できた。見たことのない花のつくりで名前を調べるのに苦労した。
 安木屋場ではバショウの群生が見られた。山の斜面を埋め尽くす群落には思わずたたずんでしまった。近くにはソテツが同じように山を被っていた。こちらもすごい群生状況だった。
 湯湾岳へ向かう道路沿いではところどころでイジュの白い花が目立った。ツバキの仲間だが枝先に集まって咲くので容易に見分けることができた。ノボタンはピンクの鮮やかで大きな花を惜しげもなく咲かせて林縁で彩りを添えていた。シマウリカエデはカエデ特有のプロペラ型の実を吊り下げていた。分布は奄美大島と徳之島に限られるようだ。
 その他に観察できた植物はアオノクマタケラン、シラタマカズラ、コンロンカ、ウスベニニガナ、ツルマオ、シマツユクサ、ツルラン、アマクサギアカミズキ、ホルトノキ、モクタチバナテリハノブドウ、マサキ、アカミノヤブカラシなど、シダ植物ではオオタニワタリ、ナンカクラン、ヒリュウシダ、キレバキノボリシダなどであった。昆虫ではアカギカメムシの赤い体色が妙に派手だった。
 奄美大島は思ったより興味深いところである。また観察に訪れたいと思わせるほど魅力に満ちた島である。
ノボタン
ヒカゲヘゴ
ヤンバルゴマ
ヒリュウシダ